機能性表示食品 かんぱちの魅力

機能性表示食品 かんぱちの魅力

「中性脂肪を低下させる」という機能性と優れた食味。養殖かんぱちの魅力を開発担当者が解説します。

生鮮食品区分の水産品として日本初となる機能性表示食品に認定された「養殖かんぱち」

養殖かんぱちに新たに加わった「機能性」という価値。
クロマグロ(本まぐろ)、ぶりに続いて、マルハニチロがかんぱちの養殖に取り組んでから約20年。2018年1月には鹿児島産の養殖かんぱちが、生鮮食品区分の水産品としては日本初、となる「機能性表示食品」に認定されました。かんぱちのパッケージに記すことが許された機能性とは「本品にはDHA・EPAが含まれているので、一日当たり100gを目安にお召し上がりください。DHA・EPAには中性脂肪を低下させる機能があることが報告されています。」というもの。さまざな生活習慣病の原因になりうる中性脂肪を低下させるという機能は、かんぱちのさらなる価値向上につながることは間違いありません。

※機能性表示食品とは:
事業者の責任において、科学的根拠に基づいた機能性を表示した食品であり、販売前に安全性および機能性の根拠に関する情報などを消費者庁長官に届け出られているものです。ただし、特定保健用食品とは異なり、消費者庁長官の個別の許可を受けたものではありません。(消費者庁HPより)

かんぱちの最大の魅力は、コリコリした食感と上質な脂・甘み
入社以来一貫して養殖の現場に携わり、現在は販売を担う増養殖事業部の大門(おおかど)にとっても、機能性表示食品としての届出が受理されたというニュースは大いに歓迎すべきもの。けれども、それは養殖かんぱちの特長のひとつであり、かんぱちの最大の魅力は、上質な脂と奥深い甘みとうまみ。冷凍にも適した、きめ細かい身質であること。この届出が受理されたことにより、養殖かんぱち業界全体の発展に繋げたい、と本人は語ります。

大門高久/マルハニチロ株式会社 増養殖事業部


「DHA・EPAは脂に多く含まれていますから、機能性表示食品としての基準を満たしているということは、脂のりの良さの証明でもあります。そして、脂がたっぷりなのにしつこさやくどさがない、さっぱりしたあと味がかんぱちの特長です。解凍後も血合いの部分の変色が少なく、鮮度感が保たれるので、コリコリした食感が楽しめます。私たちは『身持ちがいい』と表現していますが、こうした魅力をぜひ多くの方々に実感していただきたいですね」

かんぱちが好む餌の配合や環境に苦心を重ねた日々。
何よりも美味しいかんぱちを安定的に生産することこそ、養殖に関わる多くのスタッフに共通する思い。そのために、かんぱちに適した餌の開発にも創意工夫が凝らされました。

美味しさの追及には餌の研究も重要なテーマ

「見た目はぶりに似ているのに、ぶりとかんぱちでは、餌の好みがまったく違います。また、群れを成して行動するぶりとは異なり、かんぱちは集団行動を好まない一匹狼的な存在。餌の食べ方にもムラがあり、ぶり養殖で培った給餌のノウハウは通用しませんでした。給餌の効率を上げるには、配合飼料を使用することが重要ですが、養殖のスタート当初は餌を食べずに死んでしまう魚が続出しました。かんぱちが好む生の餌に配合飼料を混ぜたり、配合飼料そのものの配合バランスを変えてみたり、かんぱちに適した餌を独自に作り出すまでには多くの困難がありました」

繊細なかんぱちを育て上げるにはきめ細やかなケアが必要

アルコールを用いた急速冷凍法の導入で鮮度を保持。
養殖場の生簀で自由に泳いでいたときの鮮度を、できるだけ損なうことなくご家庭にお届けするために、養殖かんぱちには最新・最速の冷凍法を導入しています。

「一般的な冷凍は、冷気で食品を冷凍しますが、養殖かんぱちにはアルコールによるブライン凍結法を用いています。急速に凍結温度帯に達することができるため、旨み成分を逃がさず、鹿児島と同じ品質をご家庭で再現できます。冷蔵庫の冷凍室からチルド室に移して一晩置くと、食べるときにはちょうどいい熟成具合に。旨み成分が開花して、水揚げ直後よりもむしろ美味しくなると、自信を持って言えます」

アルコールを使った液体凍結法で旨みをとじ込める

人工種苗の生産スタートで、かんぱち養殖への夢は膨らむ。
マルハニチロは、サステナビリティ中長期経営計画の中で、海洋資源の保全を掲げています。完全養殖事業の拡大は、中期目標の重要なテーマのひとつ。2018年3月に開設された「南さつま種苗センター」は完全養殖に欠かせない人工種苗の生産を担う施設です。

完全養殖の道を開く「南さつま種苗センター」

「今年の春から第一期の人工種苗の生産がスタートしました。将来的にはかんぱちの全生産量の半分を人工種苗が担う計画で、水産研究所や大学との共同研究も活発に行われています。研究の進展によって、いずれは遺伝子レベルの育種が可能になり、餌食いが良く、環境にも強いかんぱちを生み出すことが可能になるかもしれません。そうなれば、美味しいかんぱちをより低価格でお届けすることができるようになります。南さつま種苗センターの開設で、かんぱち養殖の可能性が大きく膨らみました」

「しゃぶしゃぶや天ぷら、炙りなどの加熱料理では火を通すのは表面だけ。中はレアの状態で味わうのがおすすめです。脂の旨みと甘みをしっかり感じるには過剰な味付は禁物。塩やレモンが素材の味を引き立てます」かんぱちを知り尽くした養殖担当者からのアドバイスです。

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